【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜
「え、奈都!? どこ行くの!?」
そんな藍那の言葉も薄れていくくらい、わたしは社長の後を追って走った。
「五月女社長……!」
わたしの呼びかけに、五月女社長は立ち止まって振り返った。
「……奈都?」
「社長……待ってください!」
「どうした? 何か忘れ物か?」
五月女社長は、不思議そうにそう問いかけてきた。
「あ、あの……。お話したいことがあるんです」
「話?」
「はい。……五月女社長、わたし、五月女社長のことが好きです」
わたしは社長に一歩近づいてから、そう社長に言葉をぶつけた。
「……え?」
「社長がわたしにくれたあの言葉……信じたいです」
五月女社長は、あの日わたしに言ってくれたんだ。
「奈都、俺は奏人みたいにどこかに行ったりしない。……ずっと奈都のそばにいる。だから、俺と付き合ってほしい」
だからわたしは、社長のことを信じたい。奏人としてじゃない。五月女咲哉として、彼のことを信じたい。