【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜



「……奏人っ!」

 わたしは、それで目を覚ました。目を覚ましてふと隣を見ても、隣にいるのは奏人と同じ顔をした咲哉さんだ。……決して、奏人ではない。同じ顔をしていても、彼は奏人ではない。

「はぁ……。夢、か……」

「……奈都?」

 目を覚ましたわたしを、咲哉さんは心配そうにわたしを見つめていた。

「咲哉、さん……」

「どうした?……大丈夫か?」

 咲哉さんは、優しくそう問いかけた後、わたしの頬を撫でてくれた。

「……はい。すみません、起こしてしまって」

「いや、平気だ。……それより、なんか変な夢でも見たのか?」

「……奏人が。奏人が、夢に……」

 わたしは小さくそう呟いて、俯いた。……咲哉さんの顔が、うまく見れなかった。

「……大丈夫だ。俺はここにいる。どこにも行かないから」
 
 咲哉さんは、わたしを優しく抱き締めてくれた。その温もりは本当に温かくて、なんだかホッとした。

「咲哉……さん」 

「大丈夫だ。俺がそばにいる」
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