【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜
愛を確かめ合う行為
「そう。……そんな風に思えるなら、安心した」
と藍那は優しい表情を浮かべていた。
「え?」
「奈都が幸せになってくれるなら、わたしは応援するよ。五月女社長とのこと」
「……ありがとう、藍那」
藍那の優しさは、本当に世界一だ。こんなにも優しい友達を持ったわたしこそ、幸せ者だと思う。
「正直、奏人君のことは、ずっと忘れられないんじゃないかって思ってたけど……。そういうことでもないみたいね?」
「え?」
「奈都が次に踏み出すことが出来たのは、ある意味五月女社長のかおかげかもね?」
藍那はそう言うと、嬉しそうに笑った。そしてわたしの肩を叩くと、一度社内を出ていった。
藍那に言われたことを思い出すと、確かに藍那の言う通りだと思った。咲哉さんにもし出会ってなかったら、わたしはきっと今も……。奏人がどこかで生きていると信じて疑わなかったと思う。
きっと奏人も今、どこかで幸せに暮らしている。それがわたしじゃなくて、他の人かもしれない。……そう思っていたに、違いない。