【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜



「……あぁ……惑わされる」

 奏人とじゃないと分かっているはずなのに、とことん惑わされてしまう。

 大丈夫。きっと大丈夫よ、わたし。……落ち着いて。あの人は奏人ではない。五月女社長という、全くの別人。顔は確かに同じだけど……雰囲気は違う。

 そんなことを思いながら備品保管庫で備品を片付けを終えて、そのまま戻った。

「奈都、お疲れ」

「藍那……お疲れ」

「で、どうしたの?」

「……うん。実はねーーー」 

 15時の休憩になり、わたしは藍那と共に休憩所でカフェラテを飲みながら話し出した。

「え、じゃあ何? そのいなくなった彼と、五月女社長が……同じ人だってこと!?」

 全てを話した時、藍那も驚いた表情でわたしにそう聞いてきた。

「……そうなのかもしれないし、そうじゃないかもしれないし。だけどさっき、わたし目の前に五月女社長が歩いてて……。思わず五月女社長ではなく、奏人の名前を呼んでしまって……」

「ええっ!? 本当……?」
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