エリートな彼の好きな女 ~ウブな秘書は恋愛をしたくないのです~
一、平和が一番
平和で安定した人生を送るのに、結婚は必要ない。
そこそこ給料のいい会社に就職して、そこで定年まで働く。
老後はひとりだと寂しい?
上等だわ。 私は絶対、おひとり様スローライフを貫いてみせるんだから。
それが私、秋月陽葵(あきづき ひまり)の人生――
「陽葵……まだそんなこと言ってるの?」
「私の気持ちは変わらないもん」
「あんた…何歳?」
「二十四です。茉梨佳(まりか)とタメです!」
私のちゃらんぽらんな答えに茉梨佳は呆れた顔をしてから生ビールを飲み干す。
「とても同い年とは思えないわ。 おっちゃん生おかわり〜」
茉梨佳とは高校で知り合って、それからずっと仲良くしている。
今来ている居酒屋は私たちの行きつけで、ビールもごはんも美味しいし、店主のおっちゃんの気前もいいしで居心地がいい。
「私は結婚したいよ、早く。 でも今の彼氏とは潮時かな〜」
「どのくらい付き合ってるの?」
「半年。 割と持った方だけど、なんか違うなって」
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