エリートな彼の好きな女 ~ウブな秘書は恋愛をしたくないのです~
「一難去ってまた一難……ね」

一人でポツリと呟く。 早く帰りたいわ。
まだお昼だけど。
あー、でもこんな状況でも社長に泊めてもらったお礼しなきゃ。
ものを渡すなら社長室でこっそりと……。
大変。

大きなため息をつくと、そこに現れた人に思わずゲッと声を漏らす。

「ため息は幸せが逃げるぞ」

「社長……何か用ですか」

どうしてわざわざ目の前に座るかなぁ?
ただでさえ視線が痛いのに、あなたが来たら余計に不味いでしょーが!!

「冷たいこと言うな。 昼休憩だよ」

「席なら他にも空いてますけど」

ここは社食だ。
お昼時とはいえかなり広い空間なので席には空きがある。

「噂には変な尻尾もついてるんですよー。 知ってます?」

私が社長を誑かしたとか、ビッチとか実はセフレとか!
彼が女を振るのは私にゾッコンだかららしいです!

「もういいじゃないか。 逆に見せつけてやれば。 俺たちは健全なカップルだって思われた方が得策だろ」

なんだ、酷い噂なの知ってるじゃないですか。
ていうか、なに開き直ってるんですか……。

「得策って……」

「ということで、今週末デートしようか」

「はっ!?」

「日曜は休みだ。 どこか行きたいところがあれば言ってくれよ」

いや、まだ私行くとは言ってないんですけど!
とりあえず昨日泊めてもらったお礼考えてたところなのに、二人でお出かけとか。

前から思ってたけど、私とのデートになんの得があるのだろうか……。




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