エリートな彼の好きな女 ~ウブな秘書は恋愛をしたくないのです~
社長、言った。
絶対離さない自信があるって。
嘘じゃないでしょう? 嬉しかったです。
信じようと思った。 この人なら信じられるって、今なら思えるよ。
彼は今私を裏切ったんじゃなくて、私のために忘れろと言っている。
もう悩まなくていい。
それが私のためだと。
やっと気づいて、決心がついたのに。
ものすごいタイミングだ。
ある意味グッドタイミング。
ぜんっぜんグッドじゃないけど。
「春希さん!! 私の話を聞いて!」
グッドじゃない。
こんな展開はバッドだよ。
今勇気を出さないでどうするの!
「私の両親は! 大恋愛して、周りの反対押し切って結婚したくせに、結婚生活は上手くいかなくて仲が悪かったんです!」
突然身の上話を始めた私にさぞ驚いたことだろう。
社長はぽっっかーーんとしている。
それでも構わない。 止まらない。
「しかも、喧嘩ばっかりなのに、離婚したのは去年ですよ! お互い愛し合っていたはずなのに、苦しんで傷ついて悲しんで、別れる時は呆気ないんです。 紙切れ一枚でくっついて、紙切れ一枚で離れるの」
私がプロポーズを保留にした理由。
近いうちに話そうって言ったはずなのに後回しにしてたこと。
話したら、くだらないって笑われないかなとか、幻滅されないかなとか、色々考えてた。
「私は、恋愛や結婚でそんな思いしたくない。だから恋とか愛とか避けてきたんです。 でも春希さん、デートに誘ってくるし、恋人でもないのにキスするし、いきなりプロポーズしてくるし、ぶっ飛んでます!モテる人はやることも違うのかなって、正直戸惑いました!」