エリートな彼の好きな女 ~ウブな秘書は恋愛をしたくないのです~
七、彼となら、きっと




『ね、なんか二人、前より距離近くない!?』

『まさか今度こそ付き合いだした?』

『やだー! ショック〜』


最近身の回りでよく聞くそんな会話。

…やっぱ分かります?
そりゃー、こんなあからさまにくっついてたら、分かっちゃいますよね。
へへへ………私は困っておりますが…。


「社長! もっと離れて! 社員が見てます」

なんて、ここは屋上で、社員の数なんてたかが知れているけれどね。

「嫌だ」


私の大告白からはや一週間が経ちました。
晴れて私たちは恋人同士です。
社長はずっとこんな調子で、お昼休憩はほとんど一緒だし、しかもやたらと距離が近いの!

「昼休憩くらい好きにさせろ」

確かに仕事中はいちゃいちゃ完全厳禁ですけどね。
でも! いくら休憩中とはいえども、ここ会社なんですが!

「陽葵、自分がモテるの知らないだろ」

「はぁ…? あなたにだけは言われたくないですよ」

社長が人一人分私から離れて、言う。

「知ってるか? 俺たち、一周まわって『やっとくっついた』って言われてるんだよ」

な、何それ!
ていうか、表立って公表したわけでもないのに、なんで皆気づくの?
勘、良すぎない?
いくら社長がこれみよがしな態度とってるとしてもさぁ。

「一周まわってって、なんなんですか、それ」

呆れたため息をついて、おにぎりを口に運ぶ。

「一部、俺と陽葵、セットでのファンもいたらしいし」

「ますます意味わからんですね」

分からなすぎて、語彙がおかしくなっちゃうわ。

「まぁ、要するにだな、モテるのは陽葵も一緒ってわけだ」

全然要してないと思うんですけど!
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