24時の鐘と俺様オオカミ
「返してください」
「んー? どうしようかなー」


 大路君がニヤリと笑って立ち上がると、やっぱり迫力がすごいです。


「……王子様じゃなくて狼ですね」
「知らねーの? 姫野サン」


 彼は生徒手帳を私の制服の胸ポケットに入れると、少し屈み指で顎を持ち上げてきた。

 何がしたいのかと聞く前に、頬に口づけが落とされる。


「~〜っ!?」
「男はみんな、オオカミなんだよ」


 耳元に口が寄せられ、低い声が鼓膜を撫でた。
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