24時の鐘と俺様オオカミ
「そんなわけないじゃないですか」
「つーかさ、」


 私の言葉を遮った、テノール。

 掴む腕に、やや力が増す。


「俺が興味あるの、他の奴じゃなくてお前だから」
「……意味がわかりません」


 なぜ、私なんかに興味が?

 悪いところだらけと思うほど後ろ向きではありませんが、誇れる場所をたくさん挙げられるほど前向きでもありません。


「……姫野、」


 呟くように名前を呼んで、ぐいと腕を引き寄せる。

 ブラウンの瞳に私が映ったのを認識した時には、もう――……唇が重なっていた。
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