24時の鐘と俺様オオカミ
 気はすすまなかったけれど、一応は助けてくれたわけですし……と、感謝の言葉をこぼしかけた時。

 彼は目を細め、


「喘ぐなら俺の腕の中にしろよ」


 意地悪そうな笑みを口元につくった。


「……変態」


 感謝なんて、やっぱりしたくありません。

 きつく睨み付けてみても、大路君はただ楽しげに笑っている。……ムカつきます。


「……本、ください」
「お礼はねぇの?」


 片手を差し出せば、それに自分の手を重ねてくる。

 まるで、私が彼の手をとっているかのよう。
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