24時の鐘と俺様オオカミ
「……『男性の心理学』、ね」


 まじまじと本の表紙を眺め、笑いを噛み殺したように言葉を吐く大路君。

 重ねていた私の手をそっと握り、くるりと裏返して甲に口づけを落とした。


「俺のこと、気になったの?」
「……っ!!」


 図星をつかれ、思わず後ずさる。

 ほんの半歩ほどだったそれを、大路君は見逃さなかった。


「当たり?」


 本を持っていない方の手が腕を伝い、首筋を通って、顔の横に置かれる。
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