24時の鐘と俺様オオカミ
 反対側から逃げようとしたけれど、その逃げ道も塞がれてしまった。

 背後には、本棚。目前には、大路君。


(近い)


 整った顔が寄せられて、反射的に顔をそらした。

 その顎を、細長い綺麗な指が捕まえる。


「こっち向け」
「やっ、」
「しーっ……」


 息を吐くように繋がれる声。


「ちょっと黙って、白雪」


 息がかかるほど近づいて、一度まばたきをすれば……唇が重なる。
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