24時の鐘と俺様オオカミ
 皮肉の一つでもぶつけてやりたかったのに、愛しそうに細められたブラウンのビー玉2つがそんな気持ちを捨てさせる。


「だから、」


 髪を揺らして微笑む彼は、


「キス、していい?」


 本物の、王子様に見えてしまった。


(……悔しい。大路君は、なぜこんなに、)


 何も言わないのを了承と受け取ったようで、大路君は唇を優しく重ねる。
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