夜空の中に輝く君を見つける
放課後。本来なら部活は6時ごろに終わるはずなのに、今日は作業に熱中してしまって6時半を過ぎてしまった。

だけど、今はもう6月後半。あと三日もすれば七月だ。

まだ少し明るみが残っている。だけど今日は家に帰るのが8時頃になるだろう。

そう覚悟して僕は屋上に向かった。

「お、奏人くん30分遅刻ー!」

「そもそも時間とか決めてないから遅刻とかないよ。」

僕は少し煽り気味に行ったのだが、

「そっかそっか!確かにそうだね!」

楽しそうに笑いながら少しはしゃぎ気味の彼女を少し知ってみたいと思った。

「君は、どんなときに笑ってどんなときに喜んでどんなときに悲しんでどんなときに悲しむのか知りたい。君は表情に喜怒哀楽の喜と楽しか見せないといっても過言ではない。君が起こっている時の表情も、悲しんでいる時の表情も見てみたい。」

「…急にどうしたの。さっきまではあんなに塩対応だったのに。」

少し小さくつぶやくような言い方には、少しくすんでいて、涙の声がした。

「私のことを知りたいってことだよね。」

「まぁ、そういうことだね。」

「じゃあ、私の1番近くにいてくれないと。1番近くで見てくれていないと。それは付き合うってことだよ。」

彼女は悲しそうな笑顔を浮かばせながら僕に向かって吐き出した。

「でも僕は知りたいだけで君を好きとは限らない。」

「でも私は好きだよ?それにね、これは私の考えなんだけど、知りたいと好きって似てると思うの。知りたいから好き…はちょっと違うじゃん。だけど、好きだから知りたいって思わない?少なくとも私はそう思うよ。好きだから、私の知らない奏人くんを知りたい。好きだから、見えている奏人くん以外も見てみたい。」

「奏人くんの知りたいは、好きの第一歩だと思うんだ。知りたいが募って募っていつか好きになる。私はそうだった。私が言うから間違いない!」

僕にはよくわからない考えだった。でも、彼女を少し知れたような気がした。

「どう?付き合ってみたいって思ったりした?」

「付き合ってみたいとは思わないけど、君らしいなと思ったよ。」

彼女は少しびっくりしたような顔で、

「奏人くんのそんな顔初めて見た。笑っているような切ないような。そういう顔も好きだよ。」

彼女は本当に見てて飽きない。また新しい顔を見つけてしまった。

少し顔を赤らめて笑う君の顔。

「今日は君にそれを伝えたかっただけ。こんな時間まで付き合ってくれてありがとう。じゃあ。」

僕がそう言って屋上を出ようとすると、

「待って!ちょっとだけ、空、みない?」

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