ピン球と彼女
とくん とくん
規則正しく、緩やかな振動に包まれていた。
息もできないけど、温かさだけは感じることができた。
どうしようもなく、切なくて。
もどかしくて、動きたくて。
何が、誰が、何を、どういう風に。
主語は、何も分からない。
暗闇に、潰されたのだろうか。
自分が何なのか、何をしているのか。
分からない。
自分は何も分からない。
ただ、感じられるのは、悲しくなる程の、温かみ。
これは、何?
突然、白い道が開けたかと思えば、温かみが離れ、その代わりに、一滴の、生温かい雫に濡らされた――。
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