ピン球と彼女

***

暗闇の中、ぼんやりとした光に向かい合う。

機械的な効果音、コントローラーを操作する音が無機質で冷たかった。

『GAMEOVER』の文字が煽るように大きく表示され、舌打ちをした。

ダメだ、今日は調子悪ぃ。

試合に行くメンバーが発表されてから今日まで、一度もラケットに触れていない。

体育館にすら、足を踏み出そうともしなかった。

試合は、明日だというのに。

今では、試合を棄権してやろうか、とも思えてしまう。

顧問には、何度も何度も部活に来い、と催促されたが、そんなことを言われると余計に行きたくなくなる。

俺にとって、部活はそんなに大きな存在じゃないんだ。

――だからといって、部活を辞められない俺は、一体どうしたいんだよ。

自分で、自分が一番分からない。

ゲームだって、現在になってeスポーツという競技が出てきたが、俺なんか指先すら、触れることができない。

何もかも中途半端な自分に腹が立つ。

もういい。

ブツリ、と考えるのを断ち切るようにゲームの稼働を強制的に切った。

どうせ、俺は明日の試合に行かないからな。

俺は、卓球が好きな訳じゃないんだ。

そのまま、目を瞑るといつの間にか意識が消えていた。
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