秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
大粒のダイヤにちょっぴりうしろ髪を引かれるけれど、本当に高価なものは一生に一度、特別なときだけで充分だと思うのだ。

「そういうのは、結婚するときじゃない?」

今日は涼晴とデートに来れた記念、そして素敵な男性を射止めた自分へのご褒美だ。

あれがいい、これがいいとふたりで悩んだけれど、結局、一番最初にインスピレーションを感じたプラチナリングに決めた。

私がお財布を出そうとすると「いやいや、それはないだろう」と涼晴に笑われてしまった。

「デートに来て女性にお金を支払わせる男がどこにいるの」

「……そういうもの?」

「少なくとも俺の価値観では、そういうもの」

彼はお会計を済ませ、リングをすぐさま私の左手の薬指にはめてくれる。

「こんなところにつけてたら、斗碧にびっくりされるだろうな」

「お兄ちゃんには適当にごまかすから大丈夫!」

まだ兄から深堀りされたくない。私たちが自分で切り出すタイミングがくるまで。

そのあと、オシャレな個室のイタリアンで豪華な食事を堪能し、帰宅した。
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