秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
不意にキスをされ、鼓動がせわしなく脈打つ。引き留めてもいいのだろうか? でも、引き留めたら引き留めたで、幻滅するんじゃない?

イイ女であるべきか、素直な女であるべきかで葛藤する。

「……茜音は、どうしてほしい?」

「自分の将来を女の選択に託しちゃダメだと思う」

「でも、もし茜音に別れるって言われたら、俺は行かないかもしれない」

それは、私のことを大切に思ってくれているということ?

すごくうれしいけれど、涼晴に仕事よりも私を選んでなんて言いたくないし、選ばせるような身勝手な女にもなりたくない。

「じゃあ逆に、なんて言ってもらえたら、涼晴は気が楽になる?」

尋ねると、今度こそ涼晴は苦悩に満ちた顔をした。私に手を伸ばし懐に抱き込み、掠れた声でぽつりとこぼす。

「……待っていてほしい……こんなの、俺のワガママでしかないけど」

「……わかった。待ってる」
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