秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
たぶん、この環境は恵まれているほうだ。前の会社は、休むとネチネチと嫌味を言われるような職場だったから。

結局、会社を出たのは十八時十分。ここから保育園まではだいたい一駅分、徒歩にすると二十分だ。

次の電車を待つより歩いたほうが早いので、十八時半を目指して急ぎ足をする。

迎えに行くと、クラスのお友達が残り三人にまで減っていた。子どもの年齢が低いせいか、十八時前に迎えにくる家庭が圧倒的に多い。

「晴馬。遅くなってごめんね」

晴馬は疲れて眠くなってしまったのだろう、ご機嫌斜めでグズり気味だ。

今日はゆっくり夕食を作っている時間がなさそうだ、私と兄はお弁当でも買って済ませて、晴馬の分は作り置きしておいた冷凍食材でなんとかしよう。

晴馬もお弁当で済めば楽なのだが、まだまだ大人向けのおかずは味が濃すぎて食べられない。

本当は家族全員、同じものを食べるのが好ましいのだろうけれど、そんなことも言ってられないほど平日は慌ただしい。

晴馬をベビーカーに乗せると、あっという間に眠ってしまった。ゆっくりお弁当が買えてちょうどいい。買っている途中に泣かれると、私もお店の人も困ってしまうのだ。

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