秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
中に入ろうとドアノブに手をかけるが、兄の言葉を聞いてその場から動けなくなった。
「じゃあ、留学ってのは建前で、本当はお偉いさんの娘と縁談するのか?」
縁談……?
聞き捨てならない台詞に、リビングのドアの陰に隠れてこっそりと中の様子をうかがう。
「昔、短期留学していたことがあっただろう。あのとき教授の娘さんに気に入られちゃってね。とうとう教授越しに縁談の依頼が来た。名のある人だから、余計に断りづらくて」
涼晴がお酒を呷る。まるでヤケにでもなっているかのような飲み方だ。
「留学の目的はスキルアップだとか言ってなかったか?」
「俺はね。そんな裏があっただなんて、先日聞いたばかりだ」
テーブルに肘をついて、くしゃっと前髪をかき乱す。
「で。どうするんだ? まさか結婚してアメリカに永住か?」
「冗談じゃない……と言いたいところだが、親が乗り気なんだ」
「親とは絶縁状態じゃなかったっけ?」
「こういうときだけしゃしゃり出てくるんだよ、あの親は。アメリカで地盤を固めたあと、日本に戻ってきて家を継げってさ」
「じゃあ、留学ってのは建前で、本当はお偉いさんの娘と縁談するのか?」
縁談……?
聞き捨てならない台詞に、リビングのドアの陰に隠れてこっそりと中の様子をうかがう。
「昔、短期留学していたことがあっただろう。あのとき教授の娘さんに気に入られちゃってね。とうとう教授越しに縁談の依頼が来た。名のある人だから、余計に断りづらくて」
涼晴がお酒を呷る。まるでヤケにでもなっているかのような飲み方だ。
「留学の目的はスキルアップだとか言ってなかったか?」
「俺はね。そんな裏があっただなんて、先日聞いたばかりだ」
テーブルに肘をついて、くしゃっと前髪をかき乱す。
「で。どうするんだ? まさか結婚してアメリカに永住か?」
「冗談じゃない……と言いたいところだが、親が乗り気なんだ」
「親とは絶縁状態じゃなかったっけ?」
「こういうときだけしゃしゃり出てくるんだよ、あの親は。アメリカで地盤を固めたあと、日本に戻ってきて家を継げってさ」