秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました

彼は整った顔を冷ややかに歪め、俺のことを睨みつけてくる。

普段は挑発も適当に流すところだが、今の俺の心にそんな余裕はなかった。

「そうだよ」

「えっ……！？」

肯定した俺を、西園寺先生は間の抜けた顔で二度見する。その横をすり抜けて、俺は医局に向かった。

当然だ。彼女をこのままにしてたまるものか。

どんな理由があろうとも、晴馬は俺の実の息子、そして彼女はまだ俺のことを想ってくれている。このまま引き下がれるわけがない。

医局へ戻ると、ちょうどプライベート用の携帯端末がバッグの中でぶるぶると震えていた。

普段は勤務中に電話を受けたりはしないのだが、ちょうど昼食前だったことと、着信の相手が斗碧だったことが気がかりで通話ボタンを押した。

あいつだって勤務中だろうに、いったいなんの用だろう。まさか、また晴馬が発作を起こしたのでは……。

「もしもし、斗碧？　どうした？」

俺が早口でまくし立てると、沈黙のあとにか細い声が聞こえてきた。

『……涼晴。助けてくれ』

今にも息絶えそうなささやきに、想像していたものとはまた違った危機的状況なのだと悟る。

「おい、どうした！？　今、どこにいる！？」