秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
「茜音とのこと、黙っていて悪かった」
きちんと自分の口から、茜音との関係を説明したかった。こんな不誠実な伝え方ではなくて。
俺は親友の妹に手を出し、そのことをずっと隠し続けてきた。そして、彼女を二年も日本に置き去りにした。
だが、茜音のことは今も愛し続けているのだと、彼女の親代わりである斗碧にきちんと説明したかった。
『……別にいいよ。気づいてたし』
今さらの謝罪に、斗碧は苦笑する。
「俺の口から言えなくて、本当にごめん」
それだけ伝え、通話を切る。
それから俺は医局の屋上に向かい、周囲に誰もいないことを確認すると、携帯端末のアドレス帳からとある番号を引っ張り出してきた。
この番号に自分からかけたことはほとんどないが、今日だけは自らケジメをつけなければならない。
電話の奥の人物を思うと、怒りで通話ボタンをタップする手が震える。
呼出音が三回鳴ったあと、電話を取ったのは目的の人物とは違っていた。
『涼晴さんですか。私です。お久しぶりで――』
「父親を出せ」
脅すように告げると、父親の代わりに電話を取った人物――父直属の秘書兼使用人をしているいけ好かない眼鏡男が、愚痴るように答えた。
きちんと自分の口から、茜音との関係を説明したかった。こんな不誠実な伝え方ではなくて。
俺は親友の妹に手を出し、そのことをずっと隠し続けてきた。そして、彼女を二年も日本に置き去りにした。
だが、茜音のことは今も愛し続けているのだと、彼女の親代わりである斗碧にきちんと説明したかった。
『……別にいいよ。気づいてたし』
今さらの謝罪に、斗碧は苦笑する。
「俺の口から言えなくて、本当にごめん」
それだけ伝え、通話を切る。
それから俺は医局の屋上に向かい、周囲に誰もいないことを確認すると、携帯端末のアドレス帳からとある番号を引っ張り出してきた。
この番号に自分からかけたことはほとんどないが、今日だけは自らケジメをつけなければならない。
電話の奥の人物を思うと、怒りで通話ボタンをタップする手が震える。
呼出音が三回鳴ったあと、電話を取ったのは目的の人物とは違っていた。
『涼晴さんですか。私です。お久しぶりで――』
「父親を出せ」
脅すように告げると、父親の代わりに電話を取った人物――父直属の秘書兼使用人をしているいけ好かない眼鏡男が、愚痴るように答えた。