秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
俺のことはいいからふたりはしあわせになれ――兄なら言いかねない。

でも、たとえ説得されようとも、私は兄を見捨ててしあわせになるつもりなんてない。

「私はもう――」

涼晴と話すつもりなどない、そう言おうとしたが、兄の思い詰めた顔を見ていたら、反論できなくなった。

「涼晴は、準備ができ次第、連絡してほしいって」

「……わかったわ」

私はいつも通り晴馬のご飯を作り、夕食を済ませた。今日の晴馬のお風呂は兄にお願いすることにする。私はお風呂から上がった晴馬をタオルでよく拭いて、パジャマを着せる。

兄の協力もあって、グズりはしたものの九時には寝かしつけることができた。

涼晴に連絡をすると、マンションの外まで来てほしいと言う。

私がロングカーディガンを羽織り家を出ると、涼晴はマンションの前に車を停めて待っていてくれた。仕事帰りらしくスーツを着たままで、車を背にして立っている。
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