秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
「いい加減にしてください。いつまでもそんな時代錯誤なことを言っていたら、部下に見限られますよ」

「女はすぐに自分の都合のいいように裏切る。そこの女も、お前の子を産んだと言いながら、別の男との子を孕んだのかもしれんぞ」

あまりの濡れ衣に、聞き手に徹しようと決めていた私もさすがに黙ってはいられなかった。

「違います! 私の子は――」

反論しようとしたところで、涼晴に肩を掴まれ阻まれる。彼は私の代わりにはっきりと「あり得ません」と父親に告げた。

「彼女が産んだのは一〇〇パーセント俺の子です。あらぬ疑いをかけないでいただきたい」

私のことを微塵も疑っていない目。涼晴が信じてくれたことがうれしくて、胸の奥が熱くなる。

父親は憎々しげに鼻を鳴らし、私たちを睨んだ。

やっとこちらを見てくれた――話し合いの土俵に立ってくれた気がした。

「父さんはまだ兄さんを自分の子どもではないと疑っているのですか」

「あんな出来損ない、私の遺伝子であるはずがない」
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