秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
私たちは驚きに顔を見合わせる。そのリアクションが予想通りだったのか、社長はあっはっはと豪快に笑った。

「藍葉くん――君のお兄さんと付き合うようになって、もうすぐ二年になるかな。今はもう辰己家の紹介だからとか、そんな理由で付き合っているわけではないんだ。純粋に彼の情熱と手腕に惚れこんでいるんだよ」

私は膝の上の手をきゅっと握りしめた。兄のことを褒められるのは、なんだかとてもうれしい。

「彼はまだまだ経験こそ浅いが、高いポテンシャルを持っている。そもそもうちの会社の理念は、未来を担う人材の発掘と育成だからね。私は今後も藍葉くんとその会社を支援していくつもりだよ」

ということは、兄の味方になってくれるということだろうか。ちらりと涼晴に視線を向けると、彼も力強く頷いてくれた。

「私は誰に指示されようと、自分の考えを変えない人間だ。私の目に映る藍葉くんを信じているよ。わかったら、お引き取り願えるかな?」

穏やかな笑顔で社長室を追い出されてしまった。

ひとつ言えることは、社長が兄の人間性を気に入ってくれていて、今後も支援するつもりがあるということ。

ほっと胸を撫で下ろし、私たちは帰路についた。

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