秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
それは、晴馬の体の重さだろうか。それとも、命の重み?

「重いだろ。それをひとりで抱えようとしていた茜音の身にもなれ」

やっと解放されたとでもいわんばかりに、兄が肩をぐるぐる回している。

涼晴は私のほうに向き直り、真面目な顔でこちらを見上げた。

「すまなかった。ずっとそばにいられなくて」

「ううん。それは、私が決めたことだし……」

しかし、彼は晴馬を抱いたまま立ち上がり、私の耳元でささやいた。

「それから、息子に俺の名前をつけてくれて、ありがとう」

ドキリとして晴馬に目を落とす。

なぜ涼晴の『晴』の字を息子につけたのかといえば、きっと、この日をずっと待ち望んでいたからだろう。

無意識のうちに期待を込めていたのだと、今さら気づかされた。

私たちは最初から家族になるべきだったんだ。

二年も離れ離れになってしまったけれど、今からでも遅くはないはずだ。

「うん」

私が笑顔で答えると、兄はソファにふんぞり返りながら「俺の前でさっそくイチャついてんなよ」と恥ずかしそうに頬を膨らませた。


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