秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
第七章

しあわせをともに

一カ月後。

日曜日、涼晴の仕事も休みであるこの日、私と晴馬の三人で出かけようということになった。

涼晴に車を運転してもらい、都内の動物園に行く予定だ。私と涼晴が初めてデートをした場所で、懐かしいとともになんだかちょっぴり照れくさい。

この日のためにチャイルドシートも兄の車から涼晴の車に付け替えた。

晴馬に朝ご飯を食べさせていると、夕べは遅くまで仕事だったはずの兄が、休日にもかかわらず早い時間に起きてきた。

「俺、今日一日いないから。夕食は涼晴と食って」

どうやら私用があるらしい。珍しいなと思いながら「はーい」と答える。

しばらくすると、出かける準備万端の、妙にかしこまった格好の兄がリビングに姿をあらわした。

平日ですらスーツを着ない兄が、カットソーの上にジャケットを羽織っている。

綿素材で七分丈のカジュアルなジャケットではあるが、そもそもパーカーやジャージでない時点で相当レアだ。

心なしか髪型まで決まっているように見えるのだけれど……そんなに余所行きの格好をして、どうしたの?
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