秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
エピローグ
また桜の季節がやってきた。
甘い香りで満たされた桜並木を、親子三人並んで歩く。
去年は私と晴馬のふたりだけでせわしない日々を送っていたから、ゆっくり上を見上げる余裕もなかったけれど。
今年は違う。のんびりとお花見を楽しみながら歩く余裕がある。
私の左手の薬指には、新たな指輪が輝いていた。涼晴とお揃いのマリッジリングだ。柔らかな曲線を描くリングで、私の好きなピンクダイヤがさりげなく埋め込まれている。
まるでこの桜の花のよう、甘くて優しい薄紅色をしている。
「まま! おはな!」
頭上で揺れる花々を指差して、晴馬が叫ぶ。
「うん。『さくら』って言うんだよ」
晴馬は手を伸ばしてぴょんぴょんと跳ねた。花びらに触りたいのかもしれない。自分の力では届かないと気づくと、今度はパパの足元に駆け寄り抱っこをせがんだ。
「ぱぱー! ぱぱー!」
「わかったわかった。ほら、おいで」
涼晴が晴馬の足を首にかけて肩車をする。花との距離が一気に近くなり、晴馬は興奮気味に上を見上げた。
「あ、こら、しっかり捕まっててくれ! 落ちるなよ」
甘い香りで満たされた桜並木を、親子三人並んで歩く。
去年は私と晴馬のふたりだけでせわしない日々を送っていたから、ゆっくり上を見上げる余裕もなかったけれど。
今年は違う。のんびりとお花見を楽しみながら歩く余裕がある。
私の左手の薬指には、新たな指輪が輝いていた。涼晴とお揃いのマリッジリングだ。柔らかな曲線を描くリングで、私の好きなピンクダイヤがさりげなく埋め込まれている。
まるでこの桜の花のよう、甘くて優しい薄紅色をしている。
「まま! おはな!」
頭上で揺れる花々を指差して、晴馬が叫ぶ。
「うん。『さくら』って言うんだよ」
晴馬は手を伸ばしてぴょんぴょんと跳ねた。花びらに触りたいのかもしれない。自分の力では届かないと気づくと、今度はパパの足元に駆け寄り抱っこをせがんだ。
「ぱぱー! ぱぱー!」
「わかったわかった。ほら、おいで」
涼晴が晴馬の足を首にかけて肩車をする。花との距離が一気に近くなり、晴馬は興奮気味に上を見上げた。
「あ、こら、しっかり捕まっててくれ! 落ちるなよ」