秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
「もう少し様子を見てから判断しましょうよ。それに、もし救急へ行くことになったらいろいろ大変よ、晴馬のこととか」

兄は晴馬に目を向けて、うっと唸る。一緒に病院へ連れていこうものなら、じっと待っていることができずギャン泣きすることは必至。

かといって、私がひとりで病院へ行ってしまったら、兄が晴馬の面倒を見ることになる。

これからご飯を食べさせて、お風呂に入れて、寝かしつけもしなければならないのに、兄ひとりでは少々荷が重い。

わずかに冷静になった兄は、渋々といった顔で「わかった」と了承してくれた。

「でも、明日の朝、きちんと病院に行くんだぞ? この前お世話になった総合病院の整形外科がいい」

「わざわざ総合病院に? 近所の小さな病院でいいんじゃない?」

総合病院は待ち時間が長い。朝一で行ったのに受診する頃にはお昼になっているなんてこともザラだ。できることなら行きたくないのだが――。

「カルテがあるほうがいいだろう、前回足を痛めたときと同じ状態かもしれないし。涼晴がいてくれたらラッキーなんだけどな」

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