秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
今朝、念のため涼晴さんの外来にお邪魔してレントゲンを撮ってもらったけれど、やはり骨に異常はなかった。痛み止めを使いながらゆっくり足を休ませるようにとアドバイスされた。

「今朝はありがとうございました。昨晩も、遅い時間なのにわざわざ診にきてくださって」

「大きな怪我じゃなくて安心したよ」

涼晴さんは自分もと言ってお弁当屋さんでおろしハンバーグ弁当を買ったあと、「その足じゃつらいだろう」と私の抱えていた荷物を持ってくれた。お弁当のレジ袋も通勤用のバッグも全部だ。

「あの、大丈夫です。それくらい自分で――」

「どうせ行く場所は同じなんだから、甘えてくれ」

涼晴さんが親切なのはいつも通りだけれど、さすがに荷物を全部持たせるなんて落ち着かない。

しかも、ふたりきりで歩くことも初めてで、緊張からそわそわしてしまった。

気を利かせてくれたのか、彼から話を振ってくれる。

「足が治るまで、買い物はお兄さんに頼んだら? それとも、また帰りが遅いの?」

「あ、はい。ここのところ残業が多くて、今日もいつ帰ってくるか――」

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