秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
今日から勤務に就くことは承諾していたけれど、まさか一日目から外来を任されるとは思わなかった。

だが、それだけ信頼してくれているということだろう。古巣に戻れたことは幸運だと思う。

院長先生に感謝しなくちゃな……。

アメリカでのスキルアップを加味して、役職付きで給料も上乗せという特別待遇で迎え入れてくれた。

なにより、ここはいい病院だ。患者第一主義が末端まで行き届いている。この病院で働けることを誇りに思う。

給料分、しっかり働かないと。

せめて恩に報いようと、午前中の外来を全力でこなした。



外来を終え、医局のデスクに戻ってきた俺は、耐え切れず彼女のカルテを参照した。

出産したのは約一年半前、一昨年の十一月。

妊娠が発覚したのは十八週、月数でいえば五カ月だ。個人差はあるものの、一般的にお腹が大きく膨らみ胎動もはっきりしてくる頃である。

どうやら妊娠の発覚は、彼女が俺との関係を絶ったあとのようだ。別れを決意したのちに妊娠に気づいたのだろう。

予想していた通り、着床時期は俺が日本にいた時期と重なる。
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