秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
彼女はキッチンの食器棚の前で、どのお皿を使おうか悩んでいる。

今まで兄が一緒にいたせいか、まだ敬語を使い続ける彼女。ふたりきりのときは敬語も「さん」という敬称もつけることはないのに。

頭がなかなか切り替わらない彼女のうしろに回り込み、そっと背中から抱きしめる。

彼女はハッとしたように体を強張らせて、潤んだ瞳をこちらに向けた。

「涼……晴……?」

「合格おめでと」

耳元でそっとささやいて唇を奪う。途端に彼女の白い肌は桃色に色づき、食べてといわんばかりに俺を誘う。

あの程度の酒に酔わされたのだろうか、キスをやめることができなくなって、何度も何度もその唇に食らいついた。

彼女の体を食器棚に押しつけて、耐え切れず、服の下に手を差し入れる。そこにある柔い膨らみを探しにいった。

やん、と彼女が小さく啼いて抵抗を示す。それすらも煽られているとしか思えない。

「涼晴……! お兄ちゃんが、来るかも……!」

「来ないよ。今寝たばかりだろう」

こんなことをささやく俺は、悪い大人だ。彼女は戸惑っていたが、やがて体が言うことを利かなくなったのか、俺に身を任せた。
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