秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
「お尻拭きに、ジュースに、今日の晩御飯の材料に、トイレットペーパー――って重!」

スーパーでカートに入れているときは気づかなかったけれど、実際に持ってみるとかなりの重量があって、こんなにたくさん買い込んでしまったことを後悔した。

「トイレットペーパーが余計だったのよね。安かったからつい……やっぱり自転車でくればよかった」

お尻拭きもお値段の安い八個セットはかなりの重さだ。そもそも、水を含んでいるのだから重いに決まっている。

加えて、ダイコンや玉ねぎ、キャベツなど、重量級の野菜をたくさん買い込んでしまった。

両手いっぱいに買い物袋を持ってよろよろしながら歩いていると。

「すごい荷物だな」

不意に右手が軽くなり驚いて振り向くと、涼晴が私の手から荷物をすくい取るところだった。

「涼晴……!」

私はぎょっとして足を止めるが、向こうは荷物を持ったまま何食わぬ顔で歩き続ける。

「晴馬くんはどうしたの? お留守番?」

「あ……うん……そう」

気まずくなって目を伏せて、涼晴の一歩うしろを歩く。

あんなに重たかった買い物袋だけれど、彼が持てば軽そうに見えた。

ただでさえ涼晴は身長が高く、体もがっしりしている。頼もしさを感じるとともに懐かしい感情が蘇ってくる。
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