秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
「お兄ちゃん」

私があらたまって呼びかけると、兄はキョトンとした顔でこちらを向いた。

「涼晴さんに、よくお礼言っといてね」

晴馬を診てくれたことは本当にありがたかった。それに、具合が悪くなったら連絡してもいいと言ってもらえただけで心が軽くなった。

兄は無邪気な笑顔を浮かべ「もちろん」と頷いてくれる。

疑いもしていないのだろう、晴馬の父親が涼晴だなんて。

その純粋な表情が胸に刺さって、痛かった。


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