秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
そういえば、兄から彼女の話を聞いたことがない。

もしかして『残業で帰りが遅くなる』と言い訳していた中に、本当は『彼女とデートで遅くなる』も入っていたのだろうか。

私が悶々と考えを巡らせていると、涼晴はあからさまにげんなりした。

「斗碧じゃなくても、君が俺と結婚するかもしれないだろう?」

「っ!」

驚きに今度こそ声が詰まる。涼晴が私と結婚!? まさか、涼晴はそこまで考えて付き合ってくれていたの?

「……そんなに驚くところ? 恋人が結婚の話しちゃおかしいかな?」

私の「ありえない!」みたいなリアクションが不満だったらしく、彼は不機嫌な顔で私の正面に回り込み、唇を甘がみした。

「んむっ……んっ……お、おかしいなんて! ……でも、びっくりした。急に言い出すから」

激しいキスを彼の胸に手を突っ張って押し留めながら、なんとか喋る。

彼は冷ややかな目で私を睨み、抵抗する腕をあっさり退け、覆いかぶさるように唇を近づけてきた

「俺との結婚が考えられないのなら、今のうちに別れておいたほうがいい」

「そんなこと……」
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