秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
上からベージュのロングコートを羽織り、足元はスエードのショートブーツ。たくさん歩くだろうから、ヒールは低めにして歩きやすさを重視した。

彼の隣を歩くのに子どもっぽく見えないようにと、とにかくシンプルで大人っぽいアイテムを選んだつもりだ。

彼は白いニットに落ち着いた色合いのデニムを合わせ、上からネイビーのショートコートを羽織っている。

チョイスそのものもセンスがいいけれど、そのスタイルに合わせれば完璧だ。

動物園まで涼晴に運転してもらい、近所の駐車場に車を停めると、私は彼の腕に手を絡めて園内を歩いた。

「こうしてみると、大きいよなぁライオンって」

分厚いガラスの向こうで、ライオンが寝そべってゴロゴロしている。猫は割と好きなので、猫の進化系と考えるとかわいさが増す。

大きな口、大きな牙。かわいいけれど、あれでじゃれつかれたら死んじゃうかもな。

両親がいた頃は猫を飼っていて、お世話をする母の腕はいつも傷だらけだった。あの勢いで引っかかれたら、たぶん大怪我だ。

あんなに体が大きいのに足音が立たないのは、ぷにぷに肉球のなせる業だろう。丸っこくてぽふんとした手を見ていると、飼っていたトラ猫を思い出してしまう。

手の甲もふさふさ、気持ちよさそう。お手をしたい。
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