秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
「ライオンって、かわいいよね」

「え!? ああ、かわいい……かな?」

意外だったようで、彼はぽりぽりと頬をかいている。もしかして、涼晴ってあまり動物が好きではない? 私はまじまじと彼を覗き込んだ。

「涼晴は楽しめてる?」

「ああ、楽しいよ。大人になってからあらためて見ると、新鮮だよね」

日曜日の少し混み合った園内を、手を繋いで歩く。涼晴は防寒用の手袋をしていたけれど、手を繋ぎたいと言ったらとってくれた。素肌に触れたかったからうれしい。

真冬ということもあり午前中はかなり寒かったけれど、お日様が出てきたので今ではぽかぽか温かい。

「きりんって、こんなに大きかったのね」

「初めて見るの?」

「小さい頃に見たとは思うんだけど、あまり記憶がなくて」

幼稚園の頃、両親と兄の四人で動物園に来たらしいのだけれど、よく覚えていない。

それにわけもわからず見せられていたのと、物心ついてから見るのとでは、感動が全然違う。生命の息吹というか、躍動感のようなものを感じる。

「で、どうして動物園だったの?」

「デートといえば、動物園か水族館かなと思って」
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