秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
誰がどう見てもそれはデートだというデートがしたかった。自分を安心させたかったのかもしれない。涼晴が恋人になったという実感が欲しかったのだ。

「じゃあ、どうして水族館じゃなくて、動物園に?」

「鱗より毛が生えてるほうがかわいいかなって」

「俺は魚も結構好きだよ」

「え!? それを先に言ってよ!」

次のデートでは水族館へ行く約束をする。動物園に水族館、これは完全なるデートであり誰がどう見ても恋人同士だ。これからは胸を張って涼晴の隣を歩ける。

園内を一周する頃には、もう日は傾いていた。

駐車場に戻り車に乗り込むと、涼晴は「この先は俺に任せてもらっていい?」と断り、車を走らせた。

辿り着いたのは、都心のど真ん中であり、堅苦しいビジネス街とも騒がしい繁華街とも違う洗練された街、表参道。

仕事以外で足を踏み入れるのは初めてで、少しドキドキしてしまう。高級ブランドショップが軒を連ねるだけあって、ここでの買い物といったらお高いイメージしかない。

メインストリートから少し離れたところにある駐車場に車を止める。
< 99 / 205 >

この作品をシェア

pagetop