そして、僕達は溺れた
「パパ、遅いね
今日の夕方にはパパ帰ってくるんだよね?もう夜だよ?どうしてパパ帰ってこないの?」
今日の夕方には帰ってくるはずのパパが帰ってこない。確かにパパは2泊して今日の夕方には帰ってくるって言ってくれた。でもパパが帰ってくる気配は全くない
「そうね、もう一回パパに電話してみるね」
ママも少し焦ってパパの携帯に電話してみるが出ない
パパがママからの電話に出ないなんてあり得ない。だってパパはママが大好きでラブラブで何かあったら絶対ママに話すってぐらいだ。出られなかったら折り返すはずなのにその気配もない。
「パパどうしちゃったの?」
「うーん。。どうしちゃったんだろうね」
私が不安そうな顔をするからママも
つられて不安そうな顔になってしまった。

〜♪〜♪
「パパだ!!」
電話が鳴り私はパパだ!と確信した。
.........
「え、、?テレビ?」
ママの様子から電話の相手はパパじゃなかったと分かった。でも、じゃあ
電話の相手は誰だろう?ママは誰と電話してるんだろう
ママは徐にテレビをつけた

「こちらは事件に現場となっている
キャンプ場です、亡くなられたのは
小学2年の田中優衣ちゃん 8歳で
優衣ちゃんは町内会のキャンプに参加していて昨日山林近くの崖から転落し病院に搬送されましたがその後死亡が確認されました...」

「ママ?どう言うこと?パパになにかあったの?」
幼い私は状況が飲み込めずに母から
状況を聞こうとした、でも母もだいぶ混乱していて話が聞ける状況ではないと悟った。

〜♪〜♪
「パパだ!!」
電話が鳴り、今度こそパバだと思った。いいや。パパだと思いたかった
何かわからないけど今、この不安な気持ちを消せるのはパパしかいない
だからお願いします、パパでありますように。

「....はい。はい...。そうですが....
嘘よ!!!そんなわけないじゃないですか!!!絶対、絶対に何かの間違いです!!!そんな訳ない、ちゃんと調べてください!」

初めてだった。ママが声をこんなにあげて怒る姿を見たのは、いつも優しくおおらかなママがこんなにも感情的になったのを私は見たことがなかった

「ママ...?どうしたの?」
「何でもないの。大丈夫、大丈夫よ」
そう言って私を抱きしめるママのその
腕は震えていた。
「....パパは?ママ、パパはどうしたの?」
「花恋...パパのところに行こう」

それからママとタクシーでパパの元に向かった。だけど絶対的に可笑しいとすぐに気がついた

「花恋降りてほら早く!」
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