静かな音

4年前―

「入学おめでとう!」

4年前の四月五日、大学入学祝いに家族と外食していた。

ちなみに、家族構成は俺、兄、フィリピン出身のお母さんとお父さんである。

兄とは双子で、ろう者だ。

ろう者とは、聴覚障害者の一つで難聴者とは少し違う。
彼らは、生まれつき耳がほとんど聞こえなくて声もうまく発せない。だから主に手話で会話をする。

そしてお父さんは、俺のお母さんと付き合って、再婚してからもう長いが無口でほとんど笑った顔を見たことがない。

「XX大学か~。よく頑張ったね!勉強がんばらないと」

俺はXX大学という関西にある有名私立大学に入学した。

キャンパスは自然に囲まれ、留学生も多く、たぶん3割は帰国子女が占める所だった。

この大学に入ろうと思ったのは、特に理由はなく、関西にある大学だったらどこでもよかった。

まぁ、どこでもよかったというか、親がそうして欲しいと言われたから。

「大学に入って、最初にしたいことはあるの?」

お母さんは、聞いた。

「ん~、一人暮らしするし、まずはアルバイトかな」

「そうやな。アルバイトも頑張って、自分で生活していかないとね」

ポンポン

“大学で何の勉強するの?”

兄は俺の肩を叩いて、手話で話しかけてきた。

そして、俺も声に出しながら手話で返す。

「国際問題について色々勉強するかな」

“そうなんだ。難しそうやな”

「まぁ、単位とかは何とかなるっしょ」

“何とかなるじゃなくて、頑張れよ笑”

「おう!まかせて」

話が終わると、俺たちは立ち上がり、会計を済ませて家に帰宅した。

人生初めての一人暮らし。
色々心配することはあるけど、同時にわくわくもしていた。
彼女作ったり、友達と飲んだり、その一日はずーっと理想な大学生活を頭の中で描いていた。

「りょうへいー、引っ越しの準備できた?」

一階から俺の部屋まで届くほどの声でお母さんは話した。

「まだー!今からする!」

「はぁ~?何してんの。早くしなさい!」

「はいはいー」

「さぁ~て、準備するか。まぁいうて、そんな箱に入れるもんないけど」



















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