偽りの夫婦〜狂愛〜
今日も紫龍の激愛を受け止め果てて、ベットのヘットボードにもたれて座った紫龍に後ろから抱き締められている、陽愛。
陽愛のピアスに触れて、紫龍が言う。
「綺麗だな…」
「え?ピアス?」
「ううん。陽愛が」
「似合ってる?」
「もちろん!陽愛は俺のモノって感じで似合ってるよ!」
「そう…」

【君には似合わないよ】
鳥羽の言葉が蘇る。
あの時、紫龍に私が似合わないと言われた気がした。

【旦那様がお嫌いなんです、人参】
三好の言葉。
私はこんな小さな事でさえ、知らない。

陽愛は頭をブルブルと振った。
「陽愛?さっきから、変。どうした?」
「紫龍」
「ん?」
「もっと……」
「うん?」
「紫龍のこと知りたい!」
「え?」
陽愛は紫龍の腕をほどいて、紫龍に向き合うように足の間に座り直した。

そして紫龍を見上げ、
「もう…記憶取り戻したいなんて言わないから、紫龍のこと知りたい」
「煽ってるの?それ……」
「ふざけないで!」
「ふざけてないよ。陽愛があまりにも可愛いから。
しかもそんな格好で」
「え…?ごめんなさい…」
そうだった。
お互い、裸だった。
急に恥ずかしくなる、陽愛。

「今の言葉……嬉しいな…」
「へ?」
「俺のこと知りたいなんて……。
いいよ!教えるよ!何が知りたい?」
「どうして…」
「ん?」
「私と結婚したの?」
「愛してるから」
「いや、そうゆう意味じゃなくて……」
「離れたくないから」
「え?」
「もし叶うなら、誰にも見せたくない」
「は?」
「だって、結婚した理由…知りたいんでしょ?」
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