偽りの夫婦〜狂愛〜
「うん…そうだよ……」
「陽愛」
紫龍は、自分の口唇をトントンする。
「え?」
「もう…わかるよね…?して?俺の上に乗って!」
「うん」
紫龍の膝の上に跨がり肩を掴んで、紫龍の口唇に押し付けるようにキスをした。

「ンンン……
………はぁはぁ…」
「陽愛…可愛い……」
「も……許し、て……恥ずかし…。
それに、寒い…」
「フフ…
はい、これ着て?」
自分の着ていたジャケットを脱いで渡す、紫龍。

「え?服は?」
「それは、着ちゃダメ…」
「うん…」
下着の上からジャケットを着る。
「陽愛が着ると、コートみたいだな…!」
「え?」
「じゃあ帰ろうか…。
大丈夫。もう…許してあげるよ…。
荷物も後から、森井に取りに行かせるから」
そう言って、外に待機していた森井に窓をコンコンと叩いて、知らせる。
そして、ゆっくり車が動き出した。

自宅マンションに着き、紫龍が陽愛を抱きかかえる。
「森井、後は頼む」
「はい、畏まりました」
中に入った。

「陽愛、俺に顔を埋めてていいよ?俺のジャケットしか着てないし、恥ずかしいでしょ?」
「うん…」
素直に紫龍の首元に顔を埋める、陽愛。
「フフ…」
素直に甘えられると、やっぱり嬉しい。
少し機嫌が収まってきた紫龍だった。

エレベーターに乗り込むと、
「陽愛、俺を見て?」
少し恥ずかしそうに紫龍を見る。
「フフ…可愛い、陽愛」
「紫龍、まだ怒ってるよね…?」
「まぁね…」
陽愛は紫龍の口唇を手でなぞる。
「え?陽愛…?」
そのまま陽愛の顔が、紫龍に近づく。

「ンン………」
今度は陽愛から、キスをした。

< 50 / 80 >

この作品をシェア

pagetop