偽りの夫婦〜狂愛〜
白雪の小さな呟き。

そう…白雪はある意味、紫龍よりも“異常”だ。
紫龍は陽愛を今のところ、監禁することはしていない。
陽愛が記憶喪失だからとか、紫龍が陽愛を洗脳できているからと言うのもあるが、できる限りは陽愛の意思も受け入れている。
だから食事会も行かせた。
もちろん、約束をやぶろうもんなら、即監禁だが。

でも…白雪は━━━━
ある人を監禁して、管理していた。
その結果…………
その人は、壊れた。(亡くなった)

「白雪?」
「ん?大丈夫だよ?ねぇ…紅音に会いたいな」
「じゃあ…会いに行く?」
「うん…」

紫龍と白雪は本家を出た。
そして……紅音の元へ。

“神宮家之墓”
真っ暗な墓地。なのにここだけは綺麗に輝いているようだ。
墓の前に二人、手を合わせる。
そこに紅音は眠っている。

神宮 紅音。
紫龍の姉で、白雪の従姉弟であり白雪が愛した女性だ。
白雪が愛しすぎた故に、亡くなったのだ。
亡くなった後、白雪も壊れ療養の為ずっと海外にいた。
「紫龍」
「ん?」
「俺みたいになっちゃダメだよ?愛妻を紅音みたいにしちゃダメだよ…」
「あぁ…」
「紫龍の為なら、いくらでも協力するよ。俺が紅音を殺し━━━━━」
「白雪!!
その話はなしだよ!
言ったよな!?姉貴は最終的に幸せだったんだよって!親父もそう思ってるよ」
「そうだね……」
「帰ろ?白雪。
今日は、家に泊まりなよ!」
「うん…。
また来るよ、紅音……」
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