偽りの夫婦〜狂愛〜
「だって、白雪しかいなかったから。
あの地獄の中みたいな家で、お前しか信用できなかった」
「俺も、紫龍と紅音だけ……
それより、早く返事してあげなよ!
なんかあったのかもよ!」
「あぁ…そうだな…!てか、帰るか!」
「うん、俺はもう一杯だけ飲んで帰るよ!」
「わかった、これ…鍵」
「うん、ほんといいの?俺もマンション住んで」
「だから、白雪“だけ”はいいっつてんだろ?
お前は間違わないし、俺を傷つけない……
だろ!?」
「フフ…まぁね……。
逆なら、俺も同じことするな」

紫龍が去った後、
「まどかちゃん、一杯だけ付き合ってよ!」
「はい」
「びっくりでしょ?あんな紫龍」
「え、えぇ…」
「忠告……いや、警告だな。
しておこうと思ってさ」
「え…」
「君みたいなタイプは必ず、陽愛ちゃんに会いに行くんだろうから、言っておこうかなって!
絶対……会いに行くようなことしないで?
君が傷つくことになる。てか、傷つくだけで済めばいいけど……
紫龍を壊さないで?」
「………」
「俺だったら、紅音に会いに行くようなことされたら、壊れる。
そして君を……ボロボロに…壊すよ……?
俺達にとって、愛する人以外は全て敵。
男も女も関係ないから」

紫龍とは少し違う、重くて深い闇のような雰囲気。
でも、紫龍と同じ…絶対的な恐ろしさがある、白雪。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【もうすぐ帰りつくよ!
紫龍】
陽愛はスマホを握り締め、玄関前で待っていた。

ガチャン━━━━
「ただい━━━━」
パフッ━━!!
陽愛が紫龍に抱きつく。
「おかえり、紫龍」
「フフ…ただいま」
やっぱり俺の方が放れられない。
愛しすぎて━━━
と思いながら、抱き締め返した紫龍だった。
< 69 / 80 >

この作品をシェア

pagetop