愛しい君のわがままを
木々を揺らし、一陣の風が通り過ぎる。
舞い散る桜の花びらに、あちらこちらからはしゃぐ声が聞こえて。
それはまるで、別れの寂しさを紛らわし、新たな始まりへの期待を高めようとしているかのようだ。


その賑やかさを背に、彼女の手を掴んで半ば強引に人気のない校舎裏へと連れていく。


「せ、せんぱい?」


え、あの、ちょ、どこ行くんですか?!と戸惑いの声を上げながらも、手を振り払うことなくついて来てくれた彼女を腕の中にしまい込むと、


「?!」


腕の中でその華奢な身体が硬直した。
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