帝王と私~Darkness~
何度、飛んで引き戻ったのだろう。

さすがの貴将も、疲れがくる。
弥生はとっくに起きれない程、ぐったり貴将にもたれかかっていた。

「はぁはぁ……や、よい…?
大丈夫……?」
「………」
「……って、意識ないか……」
腕枕して、横になった。
弥生の汗で張りついた前髪を払う。

「………っつ…!
幸せすぎて……泣きたいのは、俺の方だよ…」

貴将にとって弥生は、真っ白で綺麗すぎる女。
弥生といると、益々自分が穢れて見える。
きっと既に、自分のせいで弥生が穢れている気がする。

一緒に闇に染まること、弥生が覚悟してくれたから、貴将も覚悟を決め、二人で堕ちると決心した。

でも愛情が邪魔をして、弥生を闇から解放しないと、と思う。

愛してるからこそ、こんな醜い、穢れた世界にいさせなくない。
愛してるからこそ、こんな醜い、穢れた世界でも一緒にいたい。

愛してるからこそ……………


貴将の中に、小さな矛盾した感情が顔を出す。


どうすることが、弥生にとって最善なんだろう。
俺はどうしたいんだろう。

ある意味弥生は、初恋の相手。

どうしていいのかわからない。


だからといって、まだ……答えが出ない。
この時はまだ━━━答えが出なかった。

でも、その答えはすぐに出ることになる。

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