帝王と私~Darkness~
「弥生……」
「お願いだから、もう二度と放れようなんて、私を放そうなんて考えないで!
てゆーか、放されても、ひっつくもん!
もう、放さないよって、何度も言ってくれてるんだから、放さないでよ!!」
言いながら、弥生は涙が溢れていた。
溢れて、溢れて、止まらなかった。

「ごめん!弥生。
どうしても、不安になって、つい………」

「渚左 貴将は“帝王”なんだよ!!
不安なんて言葉、似合わないよ!
もっといつもみたいに、堂々としててよ!
いつも余裕で、誰も逆らえない位恐ろしくて、狂ったように私を愛して、勝負に負けたことなくて、弱点もないんでしょ?」
「うん」
「お願いだから………」
弥生が動かない身体を必死に動かす。
「弥生、無理するな!」
「もう二度と………」
そして、貴将の上に跨がり、組み敷いた。

「そんなこと、言わないで………!」
貴将の口唇を奪った。

「ンンン……んぁぁ…ふ…」
「…………」
「……んふぅ…はぁはぁ……」

「そうだね…弥生…また何度も愛し合おうね……」
今度はクルッと貴将が弥生を、組み敷いた。

「もう…いっそのこと、このまま…一緒に抱き合って死んでしまおうか?」
「うん……それもいいかもね…?」

二人は、また抱き合う。
何度も、何度も、何度も、果てて━━━━━━

二人は、お互い、
好きすぎて、好きすぎて、苦しみ合う。

残酷で、醜くて、穢れた、二人。

でも、お互いを思う愛情だけは、

どんなカップルよりも、

美しい━━━━━━━━━━





< 45 / 46 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop