カサンドラの涙
四月の穏やかな風が吹く。今日から春休みが終わり、新学期だ。宮崎潤(みやざきじゅん)は高校の制服のネクタイをしっかりと締め、学校までの道を歩き始めた。

「今日から三年生なんだよな……」

三年生といえば受験が待っている。自分の進路をしっかりと決めなければいけない大切な時期だ。学校のテストも一年生や二年生の頃より頑張らなくてはならず、遊んでばかりではいられない。

「頑張らないと!」

潤はギュッと強く拳を握る。潤にはどうしても叶えたい夢がある。その夢を叶えるため、受験を頑張らなくてはならない。

「この性質をうまく活かせるといいなぁ〜」

そう呟く潤の髪を春風がそっと撫でていく。潤は少し他の人とは違う性質を持っている。生まれつき持っている繊細な性質だ。

「きゃあぁぁぁぁぁ!!」

潤が歩いていると、住宅街の一軒から大きな叫び声が聞こえてくる。小さな子どもが駄々をこねて叫んでいるのかもしれない。
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