研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
13時過ぎて、適当にお昼ご飯を手に入れる。

学生バンドのステージが盛り上がってる中、人の少ない講義棟の脇に場所を移す。

丁度いい花壇があるから、そこに並んで座った。

買った焼きそばと豚汁を食べる。

「うま」

理仁の口から湯気に乗って言葉が漏れる。

「家で作る焼きそばより数倍美味しいよね」
「うまいねー」

そんな会話をしていた時、理仁の表情が不意に変わった。

「あのさ」と切り出す。

こんなところで何だろう。

「もし俺たちさ」
「うん」

バンドがうるさい。
そんなに上手くもないくせに、音ばかりでかい。

「もしお互い何もなかったら」
「うん」

何を言おうとしてるの?

なんだか私まで緊張してくる。

でもきっとミジンコの受精卵のこんな研究してみないか、って誘いだ、きっと。

「俺たちさ」

理仁の声がバンド演奏に掻き消される。

「うん」

その先をなかなか言わない。

その時、スッと人影が目の前に現れた。
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